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レアアース泥は、プランクトンの遺骸などが堆積した遠洋性の泥の中で、レアアースを多く含んだものをいい、2010年頃に日本の南鳥島周辺の大水深6,000mの海底面に存在することが発見されました。レアアースとは、周期表3族のスカンジウム、イットリウムと、15元素を含むランタノイド(ネオジム、ジプロシウム、セリウムなど)を含む17種類の金属元素です。ハイブリッドカーや電気自動車などの小型モーター用磁石、燃料電池用固体電解質、自動車排ガス処理触媒などに欠かせない素材であり、「低炭素(ゼロエミッション)」やカーボンニュートラルを推し進めるうえで重要な資源です。
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レアアースは日本の排他的経済水域(EEZ)内に存在しておりその開発は、日本の資源安全保障上も重要となります。また、海底面から回収されるレアアースは、鉱山から回収されるものと異なり、放射性物質を含まないクリーンな資源であることが知られています。
内閣府SIPのもと、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)率いる日本勢は大水深6,000mからレアアースを回収するという、石油・ガスの大水深開発でも他に前例のない、世界初となる技術の開発を行っています。
TOYOの取組み
TOYOは、これまで培ってきた資源開発技術、サブシー技術を活用して、海底6,000mからレアアース泥を回収するシステムの技術開発に携わっています。具体的には、粘性が高くスムーズに流れない海底面のレアアース泥をスラリーに変えて船上に汲み上げるためのサブシープロダクションシステム(解泥・揚泥機)の基本設計、詳細設計、製作を完了し、2022年度には採鉱・解泥・揚泥試験に成功いたしました。
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参考リンク
1. レアアースへの取組が、科学雑誌
「Nature」に掲載されました
記事では、TOYOの描く将来の生産システム、世界初のレアアース版サブシーファクトリー*を視野に入れた取り組みを紹介しています。
* サブシーファクトリー:世界的石油開発・エネルギー会社であるEquinor(旧Statoil)社が提唱している、陸上若しくは海上の設備(ファクトリー)を海底(サブシー)に置くというコンセプト。Equinorのみならず世界中の石油開発会社が技術開発を促進している。
2. 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「革新的深海資源調査技術」2022年度(最終年度)成果報告会
JAMSTEC 海洋研究開発機構 2023年2月10日に会場とオンラインハイブリッド開催された「革新的深海資源調査技術」報告会
※レアアース泥回収システムについては、主に1:05:05~1:07:50に紹介されています。
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