
HEROとは
HERO(Hybrid Energy system
Re-Optimization)は、プロセス系・用役系を含むプラント全体を、TOYO独自開発の数理最適化技術により解析し、「省エネはやり尽くした」と考えられていたプラントに対しても、新たな改善余地を見いだすコンサルティングサービスです。エネルギー消費の削減を通じて、温室効果ガス排出量の低減を実現します。
プロセス系で必要とされる熱・動力は用役系、特にその多くがスチーム系から供給されています。そのため、プロセス系における熱・動力利用の高度化を追求すると同時に、それをボイラー負荷の最小化へと結び付けることが不可欠です。
HEROは、プロセス系と用役系を一体として捉えた最適化により、従来手法では成し得なかった水準での省エネルギーを実現します。

HEROの特徴
HEROは、近年発展が著しい人工知能(AI)を構成する一分野である数理最適化を、プラントの省エネルギー検討に応用したサービスです。
一般に、AIの他構成技術であるマシンラーニングは「データに基づく予測」を得意とし、画像認識や需要予測などに活用されています。
一方、数理最適化は「理論に基づくソリューション」を導き出す手法であり、輸送計画や生産計画など、最適な意思決定が求められる分野で活用されてきました。学習するためのデータがなくてもソリューションを創出できることが強みです。
HEROは、物質収支・熱収支や蒸留等の単位操作といった化学工学の理論を数式として定式化し、最も省エネルギー性能に優れた改造案を導出する数理最適化問題を構築します。これを計算機で解くことで、理論的に最適な省エネルギー案を導き出します。さらに、その結果をプロセスエンジニアが詳細に検証したうえで、解釈可能で現実的な改造案を提供します。

TOYOが提供するサービス
HEROでは、お客様からご提供いただく検討データをもとに、最適な省エネルギー施策案を提供します。具体的には、設備の設計・運転データ、改造に関する制約条件、用役単価などを基に数理最適化計算を実施します。計算結果を検証した後、改造後の設備構成や用役消費削減量などを検討結果として提供します。なお、HEROはFront End Engineering Design(FEED)やEPCは役務範囲対象外とし、ソリューション創出に集中することで、お客様のプロジェクト計画の柔軟性を提供します。
検討の進め方や対価のお支払い方法については、サービスの特性を踏まえ、お客様のニーズに応じて柔軟に提案します。
また、契約前のステップとして、プラントの省エネポテンシャルを無償で検討する機会を設けており、安心して省エネ検討に取り組んでいただけます。

技術の紹介
なぜHEROは従来手法を超えるのか?
HEROの優位性は、TOYO独自開発の数理最適化技術により、従来手法では技術的に探索が困難であった条件を網羅的に検討できる点にあります。技術的特長は、大きく以下の2点です。
- ピンチ解析の限界を超えた熱回収オプションの検討 従来から広く用いられているピンチ解析は、固定されたプロセス条件(圧力・温度・熱負荷)を前提とします。一方HEROでは、操作圧力変更や新規熱交換器導入によるプロセス条件の変化を変数として扱うため、より効果的な熱回収オプションを検討することが可能です。
- プロセス系と用役系の同時最適化 従来手法(ピンチ解析やスチームバランス合理化)では、プロセス系とスチーム系を段階的かつ個別に検討するため、解は部分最適にとどまります。一方HEROでは、プロセス系とスチーム系を一体の最適化問題として扱うことで、理論的に全体最適な省エネルギー解を導出します。
技術的特徴がどのように結果へ結びつくか – 具体例
高圧スチーム(STM)・中圧STM・低圧STMの3つのレベルからなるスチーム系を有するプラントにおいて、HEROはスチームバランスを考慮しながら、プロセス熱統合(緑色)、蒸留塔の運転条件変更(青色①、赤色②)を同時に検討します。従来手法では、プロセス系とスチーム系を段階的に分離して検討するため、このような相互依存関係を前提とした統合的な設計は困難でした。
加えて、蒸留塔の運転条件変更は、ピンチ解析の枠組みでは原則として扱うことができません。

実績
HEROは、サービスを開始した2019年以降、国内およびタイの顧客を中心に、さまざまな地域のプラントを対象として検討実績を積み重ねてきました。特に芳香族プラントにおいては、複数の案件で継続的に優れた省エネ案を創出しています。
また、表に示した案件以外にも、国内外の複数の顧客に対して省エネポテンシャル検討を実施しています。
| 実施時期 | 対象プラント | 地域 | 省エネ率 |
|---|---|---|---|
| 2019/12 | 非公開 | 国内 | 10%+ |
| 2019/12 | 酸化エチレン | 国内 | (客先事情で中止) |
| 2020/12 | C4 誘導品 | インド | 10%+ |
| 2021/12 | 芳香族 (p-Xy製造) | タイ | 20-30%+ |
| 2022/12 | スチレンモノマー | 国内 | 5%+ |
| 2023/5 | 芳香族 (p-Xy製造) | 国内 | 3-17%+ |
| 2023/5 | フェノール | タイ | 6-8%+ |
| 2025/4 | リファイナリ/オレフィン | タイ | 検討中 |
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