東洋エンジニアリング株式会社(TOYO、取締役社長 永松治夫)は、イルクーツク石油会社(IOC)、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 (JOGMEC)、伊藤忠商事株式会社(伊藤忠商事)の3者と共同で、東シベリアと日本間のブルーアンモニア*バリューチェーンに関する事業化調査を実施することを合意しました。
本プロジェクトは低炭素社会の一助となる、商業ベースのブルーアンモニアバリューチェーンの確立を目指すものです。アンモニアは、常圧下で -33℃、または、常温で8.5気圧といったマイルドな条件で液化します。これは一般に流通している液化石油ガス(LPG)の液化条件とほぼ同じであるため、同様のインフラで輸送、貯蔵することが可能です。アンモニアは、例えば大量のエネルギーが必要となる発電所の燃料としても有力視されている製品です。4者は、ロシアで生産したアンモニアを日本に輸送して燃料として活用するバリューチェーンを構築することによって、日露間のエネルギー政策に新たな選択肢を提供することを目指します。
最初のステップとして、TOYOと伊藤忠商事は、JOGMECの委託調査として、 IOCが産出する水素をアンモニアに変換し、日本へ輸送するバリューチェーンの事業化調査を実施します。
次のステップでは、IOCが複数保有する井戸元から産出される天然ガスを原料にしたアンモニアの量産と、アンモニア製造時に発生する二酸化炭素をシベリア東部の油田に圧入するCO2-EOR(CO2圧入による原油増進回収法)設備を組み合わせ、さらに日本への輸送体制を検討する計画です。これが実現すれば大量生産されたブルーアンモニアが日本に安定供給されて、主に火力発電所の燃料として使用可能になります。
TOYOはアンモニアプラント建設におよそ80件の実績を有し、また、石油・ガス生産設備のコンサルティング、エンジニアリング、建設、EOR等の設備計画に取り組んできました。また、東シベリアを含むロシアでのビジネスにはおよそ50年の歴史を持っています。
我々は、4者が保有する技術、知見を活かした連携により、東シベリア-日本間のブルーアンモニアバリューチェーンの確立に貢献し、低炭素社会の実現に向けた取り組みを推進します。
*ブルーアンモニア: 従来の製造プロセスによって生成されるアンモニアである一方、生成される二酸化炭素を隔離するCCS(二酸化炭素回収・貯留)を工程に加えることで、CO2フリーを実現する。
2020年12月23日