財団法人エネルギー総合工学研究所(IAE、理事長 秋山守)と東洋エンジニアリング株式会社(TEC、社長 広瀬俊彦)は、財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE、理事長 秋山喜久)と共同で、二酸化炭素を排出することなく、かつ設備コストを下げて、天然ガスからメタノールやDMEなどのクリーンな次世代エネルギーを製造するための合成ガスを作り出す新たな技術である「天然ガス内熱式水蒸気改質法」を経済産業省の補助金を得て開発中です。
通常、天然ガスを水蒸気改質してメタノールなどの原料となる合成ガスを製造する場合、触媒が充填された複数の管型反応器を加熱炉に入れてバーナーで外側から加熱する「外熱式」が用いられており、加熱のための燃焼により発生する二酸化炭素の排出を避けることができませんでした。今回新たに開発されたのは、酸化触媒と改質触媒が交互に充填されている密閉された反応器の中で、外から加熱することなく内部の酸化触媒の発熱反応と、その熱を利用した吸熱反応の水蒸気改質により合成ガスを製造する新方式の「内熱式」技術です。
新方式の「内熱式」では、主に水蒸気・天然ガス・酸素からなる原料ガスが反応器内の酸化触媒層で発熱反応である部分酸化反応により昇温され、次いで改質触媒層で吸熱反応である水蒸気改質反応により次第に温度が下がります。さらに酸素を追加し同様に酸化触媒層と改質触媒層を通す操作を数段繰り返すことで高い合成ガスの収率が得られます。従来の「酸化触媒を用いない内熱式」では、反応器内部で天然ガスの一部が燃焼する際、高温が発生すること、高温により原料ガスが熱分解し煤が発生すること等の問題がありましたが、酸化触媒を用いて反応開始温度を450℃程度へと大幅に下げることにより解決することができました。
また反応器外壁温度も300℃程度以下に下げられるため、余熱器の負荷を小さくして合成ガス製造が可能であり、設備小型化や安価な装置材料の使用による設備コストの大幅な低下が期待できます。
この製造法のポイントとなる酸化触媒にはRITEが開発したマンガン置換「ヘキサアルミネート型触媒」が、改質触媒にはTECが開発したISOP触媒が使用されています。今般、TEC茂原研究室で、両触媒を組み合わせた小型実験装置を用いてこの「天然ガス内熱式水蒸気改質法」の有効性を確認しました。
さらに、IAEは、独立行政法人産業総合研究所北海道センターで、透過型実験装置を用いて、両触媒を充填した石英製の反応器内で起こる反応の様子を目視し、酸化触媒層が十分低温で赤熱する様子を捉えています。
*資料:天然ガス水蒸気改質法の比較図、比較表(PDFファイル)
問い合わせ先
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