TEC、ルーマス法エチレンの画期的な新技術で受注拡大
東洋エンジニアリング株式会社(TEC、取締役社長 広瀬俊彦)は米国ABB Lummus Global Inc.(LGI)とエチレン技術についてのライセンス契約更新を2001年11月に行ないました。TECとLGI社とは1962年にエンジニアリング技術の導入契約を締結して以来、エチレンを中心とした協力関係を維持しています。
この間にTECはLGI社と協力してグラスルーツのエチレンプラント計35基(累計でエチレン年産1千万トン強)、改造・増設を含めて約60件に達するエチレンプロジェクトを遂行してきました。またTECは、世界最大のナフサ分解プラントである台湾の100万トンプラントの設計・試運転に携わるなど、この15年だけでも世界の1/4に近いエチレンプラントを受注しています。
今回の契約更新にともない、より技術面でのライセンス協力関係を強化していく事としていますが、 その一環としてルーマス社がこのたび開発した画期的な新技術につき、LGI社とTEC共催により関心度の高い日本の主なライセンシー各社に紹介する「最新オレフィン技術セミナー」を昨年12月13日にTECにて開催しました。
この新技術は、この4半世紀、部分的な改良のみが為されるのみで、ほぼ完成した技術といわれていたエチレンプロセスを根本から変えるもので、21世紀の挑戦と位置づけたものです。
この技術の中核は、圧縮機システムの改革にあり、熱分解ガスの圧縮圧力を従来の半分以下とするとともに、これまで数台必要としていた冷凍機を一台とするものです。これによりエチレンプラントの機器数の約25%削減を達成することが出来るとともに、機器費の15%の削減を可能とするものです。同時にCO2削減につながる消費エネルギーも15%削減されます。
同時に、ナフサ分解では主要副産物のプロピレンはエチレン比最大65%までしか生産できなかったものを、エチレン、ブテン等からプロピレンを製造することでプロピレンを120%以上にまで増産できる技術も組み込まれており、日本のオレフィン生産会社のプロピレン不足を補う技術として期待されます。特に、ブテンのみから、エチレン、プロピレン、ヘキセンを併産する画期的な新技術も発表され非常に注目されています。
また従来から保有していた反応蒸留技術の改良も組み合わせ、先の数字を可能としております。これにより、プラント建設時のプロジェクト経済性向上も約30%以上の改善が見込まれています。
これらの技術の商業化に向け、LGI社は中国のSINOPEC(中国石油化工總公司)と共同で実証化を実施する契約をすでに済ませ、2002年秋には実証プラントの運転が始まる予定となっています。
2002年4月には世界各国のLGIのライセンシーを招き、「ABB Lummus Global 10th Ethylene Seminar」が開催されますが(米国San Diego)、ここでさらにに新技術の紹介が行われる予定です。
TECはLGIとともに、この新技術を組み込んだ新規エチレンプラントの年1基以上の受注を目指しています。