東洋エンジニアリングと英国アルステック社とが使用済燃料の「ボールト貯蔵技術」に関する国内での販売促進契約を締結
東洋エンジニアリング株式会社(TEC、取締役社長 広瀬俊彦)は英国アルステック社(ALSTEC LIMITED)との間で、この度同社の保有する「ボールト貯蔵方式」による使用済燃料貯蔵技術を活用した使用済燃料貯蔵施設の、日本国内への導入・販売活動を促進するための契約を締結した。
この「ボールト貯蔵方式」は、原子力発電所から発生する使用済燃料を"キャニスタ"と呼ばれる金属製容器に収納してコンクリート構造の空洞内で貯蔵する乾式貯蔵技術のひとつの方式で、"空洞内"(英語でVault)に貯蔵することから「ボールト」方式と呼ばれている。この方式により、現在国内の使用済燃料貯蔵技術として採用されている「金属キャスク貯蔵方式」や海外で採用されている「コンクリートキャスク貯蔵」「サイロ貯蔵」などの方式に比較して、「高い貯蔵密度」の実現が可能であり、我が国においては立地やコスト面での優位性がある貯蔵技術として期待される。
ちなみに国内においては、「ボールト貯蔵方式」は再処理施設から発生する「ガラス固化体」の貯蔵方式として採用されているが、同方式の使用済燃料貯蔵施設への導入は、今後の新たなビジネス展開である。
TECは、いままで国内の原子力発電所内における金属キャスクの保管、貯蔵施設の建設、金属キャスクによる使用済燃料貯蔵の実用化などに多くの実績があり、今後、我が国での「ボールト貯蔵方式」による貯蔵施設の実現に向けてアルステック社の貯蔵技術を活用し、実用化に必要な技術の蓄積や低コスト化をはかり、将来的に増大が予想される使用済燃料貯蔵のニーズに対応していく方針である。
■ 英国アルステック社について
アルステック社は、原子力発電所の燃料ハンドリング設備等で実績のある旧GEC社の電力・機械システム部門を母体とする英国の大手企業で、一昨年アルストーム・グループ(旧GEC―アルストーム社)から分離独立した会社である。英国内で同社が建設した「ボールト貯蔵方式」による貯蔵施設は既に30年以上の運転実績があり、その後、米国、ハンガリー等でも建設実績がある。米国では、軽水炉燃料に対応した貯蔵施設の認可も取得しているほか、現在、アイダホ州の国立研究所内(INEEL)にて同方式による最新型の貯蔵施設を建設する計画が進められている。同社の貯蔵技術は、使用済燃料の最適な冷却技術と増設が容易な「モジュール構造の貯蔵システム」(モジュラー型ボールト貯蔵システム)に特長がある。