TEC、大型DME製造プロセスを確立
東洋エンジニアリング株式会社(TEC、取締役社長 広瀬 俊彦)は、年産250万トンクラスの大型ジメチルエーテル(DME)製造プロセスの開発に目途をつけた。TECが採用するDME製造プロセスは、天然ガスを合成ガス(一酸化炭素と水素の混合ガス)に転換し、これを触媒上で反応させることによりメタノールを経由してDMEを製造する技術である。TECは従来より得意としてきたアンモニア、メタノール、水素プラントに共通する合成ガス製造技術での豊富な経験・実績を基に、新合成技術を組み合わせることにより、日産7,000~8,000 トン(年産250万 トン相当)のDME製造プロセスを確立させた。
メタノールを経由したDME製造プロセスは、未だ日産数トン程度の実績しかない合成ガスから直接にDMEを製造する技術に比べて、新たな開発要素が少ないこと、大型化が容易であること、大型の250万 トンでもDME合成器が1基で可能でありプラント建設費が安いこと等が特長である。
TECの試算では、中東など比較的安い天然ガスを原料とした大型DME製造プラントではDMEトン当たり90~100 ドル(FOB)で製造可能である。これは、発熱量 百万BTU当たりでは約3US ドルに相当し、性状が似ているLPGの輸送船および貯蔵設備などのインフラを利用すれば、クリーン燃料として十分に競争力があると判断される。
日本や中国などの極東、またインドでは大量にエネルギーを輸入しているため、クリーンエネルギーであり、かつ毒性も少なくハンドリングが容易なDMEを大型プラントにより安く生産できれば、LPG代替あるいはディーゼル代替燃料として広く利用されることが期待されている。
これまでTECでは、中東や東南アジアでDME製造プラントを建設し、日本を含む極東のマーケット向けに燃料として利用するプロジェクトを想定し、プロセスの大型化開発と具体的なプロジェクト発掘に注力してきた。
平成13年度JETROで採択されたイラン向け「ジメチルエーテル製造・輸出事業化調査」においては、三井物産株式会社との共同でより詳細な事業化調査を行ない、プロジェクトの実現を目指していくことになっている。
TECでは、同じく合成ガス製造技術を利用したクリーン石油製品製造技術であるガスツーリキッド(GTL)についても、中東でのプロジェクト評価を実施していく予定であり、天然ガスのクリーン燃料転換技術に引き続き注力していく。